れーな:その名前とルックスからは想像できない激しいギター
甘い歌を、ナチュラルな歌を歌いそうな弾き語りスト。ひらがなの名前とそのルックスで興味を持ったお客さんはきっとびっくりするだろう。
れーなの取材は二回目。
前回は大分熊本震災の後。彼女の故郷が大きな痛手を受けた後の、傷あとも生々しい頃だった。
一曲目。深く息を吸い歌いだされる「走れ!」という歌。
吹き飛ばされていくものなんて大したもんじゃない!と歌う彼女。
嵐に立ち向かう戦士のようだ。
タカミネのギターを抱えて立つ彼女には、美しい甲冑が見えるよう。
れーな:実はしっかりとしたギターワークに裏打ちされた歌。
ジャキジャキとしたコードカッティングと、ベース音をきちんと出すテクニック。
ミュートや空弾きなどのアクセントも効いてる。
れーなは実は素晴らしいリズムギタリストでもある。
解放とバレーコードの音の安定さとか、若い弾き語りストは見習うべきだと思う。
一曲の中でのメリハリもしっかりしてて、言葉の持つビートをキープし増幅させる。
素晴らしいギタープレイヤーだ。
れーなのライブを見た人が「男前!」と口々に言うのがよく分かるステージング。
まあ、ライブとはそういうものかもしれないけど、CDに収まった演奏や歌より、空気をふるわせる生歌の威力を感じる。
れーな:臆病な彼女が「れーな」の仮面をかぶる時
心が離れてしまった彼氏からもらったキャンディー。カバンに入れたままだったから溶けて変な形になってしまった。口に入れて「さよなら」の甘い味に酔うのかと思いきや「思い出が蘇る前に噛み砕いた!」
この曲のシチェーションをこんなに力強く、キラリと輝く曲にできるなんて。
素晴らしいソングライターだ。
彼女はどうしてそんなにきっぱりと、男前なんだろう(笑)
男の歌だったら、絶対に噛み砕かない。
思い出に酔いながら涙を流すだろう。そういう意味では女の子の方が「男前」なのかもしれないね。
れーなは怖がりで臆病なんじゃないだろうか?と思った。
無敵なんかじゃないし、傷ついて無力感を感じることもあるはず。
ただ、「れーな」という顔とギターをつかみ、僕らと対峙する。
20歳ながらも、もう中学生からキャリアを積み上げてきてる。
多くの経験と痛みと喜びを糧にして進む。
あの坂を駆けがる。
彼女を見送るのか、それとも後を追いかけるか?
れーな:ミニインタビュー
ライブを見たお客さんから「見た目と違うねー」て言われます(笑)
私、負けず嫌いで。
小学校の頃とか、漢字練習ドリルを誰よりもたくさんやろうとして(笑)クラスにすごくやってくる人がいて、絶対負けたくない!って何十ページもやって。(笑)
勉強とは関係ないですね。ただ負けたくないだけ(笑)
ギターの練習もします。バレーコードが特に苦手で。だから1日1回「バレーコードの時間」を作ってひたすら「B」ばっかり押さえてたりした。
バレーコードだけの曲を作ったり(笑)
闘志むき出しって言われます。
期待してるよ!って言われると、それ以上になりたいと思う。
「全然見えない」って言われるけど。
中学二年頃からギターを弾き始めていろんなところでライブしました。温泉とかプレハブ小屋とか、誰も聞いてないようなところでも歌いました。
度胸はそこで着いたのかも。
ただ、ライブの前はいっつもお腹痛い(笑)
怖がりなんです。傷つきやすい。
音楽活動は順風満帆ではないけど、ビビることも多いけど、それをなるべく観せたくないかな?負けず嫌いなんで(笑)
強くあれという曲は「悩んでる人に向けて歌を書いて」と言われて作ったんです。
悩みってなんだろう?悩みの正体はなんだろう?ってとこから考え始めて。
でも「悩むな!」なんていう上から目線は嫌だし。
自分自身に「強くあれ」って言ってるんですね。
引っ張り上げるでもなく、後ろから押すわけでもなく、一緒に歩くよって感じ。
たくさん泣いたり傷ついたりした人が、より「強く」なれるんじゃないかと思います。
熊本の震災はやっぱり、すごい無力感に襲われました。
歌ってる場合じゃないって思った。
歌ったって、何もできないと思いました。ガレキ一つのけられない。
そんな時に菊池市役所の方から「歌を」作ってって言われて。
「ああ、音楽をやってもいいんだ」て思いました。
音楽が何の意味があるんだろう?って想いに襲われてたから。「私は音楽をやっていいんだ。それは意味のあることなんだ」って思えました。
生きてたら、乗り越えなきゃいけないことばっかり。
何でもやってくる。
それを超えていきたいなと思います。
転がってくる障害物を全部力にしたい。