佐藤瑛【可憐なワンピースでは隠しきれない作品至上主義】


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佐藤瑛:歌われる歌は、完璧なワンマン監督作品

ゆっくりとしたギター。震える語尾がはかないラブソングを歌うかと思えば、
明るい恋のウキウキ感を元気に歌う。
打ち込みを使ったバタフライ効果で世界のつながりを歌い、
フラットマンドリンで男の子のかわいいバカっぽさを歌う。

演奏された曲が、すべて違う世界を表現していた。

アコースティックギターの弾き語りストというイメージや、かわいいワンピースで立つビジュアルから受けるものとは一味も二味も違った。

アップ・トゥ・デートな音楽。2016年に流れる街のサウンドにもきちんと反応して取り込んで、自分色に染めて作り上げる。
作品、特に「歌詞」へのこだわりと、歌の持つストーリーを明確に表現しようとする「作家魂」を感じた。

特に言葉の使い方。
僕がライブを聴いて唸ったのは「例年になく」というフレーズ。

普通歌われないであろう言葉がこれ以上はないくらいピシャリと機能していた。
おお!この人はすごいかもと、ピンときた。

 

佐藤瑛:ギターを持って立つ。自分自身を主演女優とする。

すらりと長い脚を見せるワンピース。
裾をひらりとはためかせ、軽くジャンプする。
歌う彼女の後ろには、歌ごとに見える風景がある。

草原。
スクランブル交差点。
摩天楼。
商店街。
古い国道。
田園風景。

街で、田舎で、流れる水のように佐藤瑛は歌う。

片想いの女の子や、生きる意味を探すティーンや。
いろんな主人公を演じる彼女。
短編映画のように。

「この二人は、この後どうなるんだろう」

その歌の前後を想像して楽しむこともできる。

 

主演だけでやっていける類い稀な才能の持ち主もいるかもしれない。
でも彼女は自分を「主演」させるもう一人の「プロデューサー」の役割を持っている。そこがとても面白い。

 

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佐藤瑛:彼女の強みは「芯の通った雑食感」

もはやスタンダードに聞こえる「ラブジョイ」に反応する女の子たちもいるだろうし
「バタフライエフェクト」に「お!」と思うキッズたちもいるだろう。
「アイスコーヒーはミルク入り」にノスタルジーを感じるおじさまたちも。

アコースティックギターの弾き語り女子が好きな客層だけじゃなく、洋楽ファンもロックファンも取り込めるだけの「作品力」が佐藤瑛にはある。

これはものすごい「強み」だ。

彼女自身がその強みに「傷」つかなければ。

 

アコースティックなイメージからすると「わかりにくい」という意見もあるだろうし、もっと自分の色をはっきり出した方が?イメージを絞った方が?という声もあると思う。

でも、彼女が今のような厳しい審査基準で「監督と主演」を続けていけば活動のフィールドは広がる一方だろう。

飽きさせないセットリストをいつまでも。

 

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佐藤瑛:笑えなかった時代からエスケイプ。その爆発が今も続いてる。

エスケイプという曲。
洋楽テイスト満載のコードとサビ。
ティーンの時に誰もが感じるいらだちや失望や不安。
部屋から空ばかり見上げていた時に手にした「ギター」という武器をとって空高くジャンプする彼女。
作品を作り続けるエネルギー源はそこにあるような気がする。

彼女は新しいジャングルに飛んでいき、そこできっと新しい果物をもぎ取り、口にする。
お腹を壊すかもしれない。
でも、食べた人にしか「その味」はわからない。

 

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佐藤瑛【ミニンタビュー:私は音楽のジャンルを取っ払いたい】

やりたい音楽がたくさんあって、私にはジャンルとか関係ないんです。

はじめに言葉があって、物語や風景があって。そこに「こんな音が合うんじゃないかな?」と重ねていく。私の曲作りはこんな感じです。
完成図ができていて、そこに向かって作る。
シンプルな構成がいい曲もあれば、複雑なコード進行の方が似合う曲もある。そんなことを一つ一つ決めてから作りこんでいきます。

だからたくさんは作れない(笑)
う〜ん今ひとつだなぁ。完成図に近づけてないなあと思ったら途中でやめることも多いです。

音楽の基本にあるのは「感情」だと思います。
私はその感情をそのまま吐き出せるタイプじゃないので、作品にする。グズグズな気持ちだったとしてもきちんと作ってあげたい(笑)

プログラムも自分でやってます。
曲にとってそれが「必要」だから。
マンドリンの音も、曲に必要だったから入れました。
作りたい音楽があって、そのために必要な音を探す作業が好き。

「これはギターの弾き語りサウンドじゃ収まりきれない」と思えば、その曲が求めてる楽器をツールとして使う感じです。

これからは、「一歩先の作品」を作りたい。
自分の情熱をエンジンとして作り始めたんだけど、もっと違う色、違う驚きを提供したいと思っています。
だからきちんと作りたい。完成度は私の満足度に比例してる(笑)

作品作りは家でこもってやるもので、大好き。
でもライブはまた、全然違う喜び。
映画を見るように楽しんでもらえたら嬉しいし、聞いてくれてる人の思い出とか脳内の何かを掘り起こしたい!って思います。

私はこんな物語を作りました。
あなたはどう感じてくれますか?

 

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